こんにちは、りんたろう(@rintarou44)です。
価値が無い、低いと思われている人を主役仕立て、切なくて少しだけ救いようのある小説を書くことに定評のある三秋縋さんの作品を紹介したいと思います。
三日間の幸福
メディアワークス文庫
いなくなる人のこと好きになっても、
仕方ないんですけどね
(引用:本書 裏表紙より)
目次
- 十年後の約束
- 終わりの始まり
- 三角座りの監視員
- 答え合わせといきましょう
- これから起こるすべてのこと
- 変わってしまった人、変われなかった人
- タイムカプセル荒らし
- 不適切な行動
- できすぎた話
- 私の、たった一人の幼馴染へ
- 自販機巡りのすすめ
- 嘘つきと小さな願い
- 確かなこと
- 青の時代
- 賢者の贈り物
あらすじ
クスノキとヒメノはクラスで浮いていた。浮いた者同士で、一緒に行動することも多くお互いにそれなりに信頼していた。ヒメノが10年後の20歳の夏は生きててよかったと思えることがあると言い始める。20歳になっても”オヒトリサマ”だったら結婚しようとも。
20歳の夏のクスノキは大学生をしていた。取柄は本と音楽の趣味がいいこと。お金が尽き寿命を売ることにした。残りの寿命は30年で、1年につき1万円の価値しかなかった。
残りの人生3か月間はミヤギという監視員の監視下の元余生を過ごすことになる。
彼は人生を逆転しようとするのか、これまで以上にくだらないことに費やしていくのだろうか。
切ないセリフ
「どうせもう、取り返しはつかないんです、三か月という期間は、何かを変えるには短すぎます。とはいえ、何もしないで過ごすには少々長すぎます。だったら、小さくても確実な幸せを積み重ねていった方が、利口だと思いませんか?勝とうなんて思うから負けるんですよ。負けの中に勝ちを見いだす生き方の方が、失望は少なくて済みます」
(引用:本書 75ページ1行目より)
ミヤギがクスノキに向かって言い放ったこの言葉。
今までの誤った行動に気が付いたとしても、それはスタートラインに立っただけで、トップランナーに追いついたわけではない。という当たり前を気づかされる。
切ないけど残酷な真実である。
最期に読むほんとは
クスノキは残り少ない人生の中で、ポール・オスター、宮沢賢治、オー・ヘンリーそしてヘミングウェイを選択する。
作品名まで出てきたのはオー・ヘンリーの『賢者の贈り物』だった。
絵本にもなっている有名な本なので、タイトルは知らなくてもどこか聞いたことのある話だ。
詳細な内容は下記にて
皆さんは最期にどんな本を読みたいですか?
おすすめしたい人
- 小さい頃神童だった人
- 少しの幸せを感じたい人
- 人生の価値を感じたくなった人
感想
三秋縋さんの三日間の幸福の紹介でしたがいかがでしたでしょうか。
人生の残酷さと小さな幸せを感じられる作品となっています。
読了感もじんわりとした幸福に包まれることと思います。
以前紹介した三秋縋さんのさくひんはこちら
*1:PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像