タイトル:君のクイズ
著者:小川哲
ISBN-10:4022518375
ISBN-13:978-4022518378
あらすじ
『ゲームの王国』『嘘と正典』『地図と拳』。一作ごとに現代小説の到達点を更新し続ける著者の才気がほとばしる、唯一無二の<クイズ小説>が誕生しました。雑誌掲載時から共同通信や図書新聞の文芸時評等に取り上げられ、またSNSでも盛り上がりを見せる、話題沸騰の一冊です!
ストーリー:生放送のTV番組『Q-1グランプリ』決勝戦に出場したクイズプレーヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄絆が、まだ一文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たすという不可解な事態をいぶかしむ。いったい彼はなぜ、正答できたのか? 真相を解明しようと彼について調べ、決勝戦を1問ずつ振り返る三島はやがて、自らの記憶も掘り起こしていくことになり――。
読めば、クイズプレーヤーの思考と世界がまるごと体験できる。人生のある瞬間が鮮やかによみがえる。そして読後、あなたの「知る」は更新される!
「不可能犯罪」を解く一気読み必至の卓抜したミステリーにして、エモーショナルなのに知的興奮に満ちた超エンターテインメント!
もっと詳細に読みたくなる、1本道ストーリー
この本はハードカバーだと192ページと少し短めである。
とくに直木賞を獲得した『地図と拳』は642ページの大長編であった。
三島の視点からのみ描かれるため、かなりの没入感を感じた。そして、他者目線で描かれないため、もっと深く読みたいと思ってしまう。本庄視点の話があっても面白いと感じた。
本庄がTV番組の『Q-1グランプリ』で最後に回答した、『ママ、クリーニング小野寺よ』は実際に山形県にあるクリーニング屋さんである。私はクイズプレイヤーになったことはないが、こんなローカルCMを答えられるなんて実際に住んでいるか、趣味がローカルCMを見ることなのではないかと思った。それでも問題文が1文字も読まれずに答えることができるとは思わない。
そんな問題をなぜ本庄が答えられたのかを三島が探求する話である。
TV番組の『Q-1グランプリ』を三島が回想していくのだが、1問1問に三島の思い出が語られていく。トップクイズプレイヤーだと、記憶力がいいのだろうか、ずいぶんエピソードが濃いなと感じるだろう。そこにはある理由があった。
クイズの話だと思って購入したので、ミステリー小説だとわかった時に面喰ってしまった。クイズの問題文が読まれる緊張感も伝わってきて、面白い。